注意欠如・多動症は、ADHDとも呼ばれており、発達障害の一つのタイプで、不注意、多動性、衝動性の3症状を主な特徴とする生まれつきの精神疾患です。
年齢あるいは発達に比べて注意力が足りない、衝動的で落ち着きがないといった特性があるために日常生活に支障を来たしている状況がみられます。
子供の有病率は5%で、男女比は2:1くらい。
成人の有病率は2.5%で、男女比は1.6:1くらいとされています。
女性は男性よりも、不注意の特徴を示す傾向があります。
脳機能の発達に関係する障害により、社会性の障害、コミュニケーションの障害、想像力の障害があり、日常生活に支障のある状態です。
発達障害には、自閉症スペクトラム(ASD)、注意欠如・多動(ADHD)、学習障害(LD)、チック症(トウレット症候群)、発達性協調運動障害(DCD)、吃音などが含まれます。
同じ障害名でも、特性の現れ方が違ったり、他の発達障害や慢性疾患を、併せ持つこともあります。
ADHDの主な症状は、うっかりミスが多いなどの不注意症状と、じっとしていることのできないなどの多動性・衝動性症状の2つに集約されます。
ADHDの原因は、現時点では、はっきりとは解っていませんが、生まれつきの脳の何らかの機能異常が関係していると考えられています。
大脳の前頭葉の働きが生まれつき弱いことが関係しているという説が有力です。
生まれつきのものなので、発症には育て方、愛情の注ぎ方などの、後天的影響はありません。
遺伝が関係するとの見解もありますが、はっきりした結論は出ていません。
ADHDの子供が、自分の特徴を理解し、状況にあった適切な行動をとれるようになることが目標です。
それには心理社会的治療と薬物治療が大きな要素となります。
環境調整:子供の周囲の保護者や、保育園・幼稚園・学校の関係者がその特徴を理解し子供に適切な対応をできるようにします。
ペアトレーニング:保護者が子供の望ましい行動を増やし、望ましくない行動を減らすための接し方や方法を学びます。
ソーシャルスキルトレーニング:対人関係を良好に保つため、社会のマナーやルールを学びます。
ADHD治療薬としては代表的な次の3種類があります。
漢方薬にも有効なものがあります。
柴胡加竜骨牡蛎湯、抑肝散、甘麦大棗湯などが個々の症状に合わせて用いられています。