寒暖差アレルギー

寒暖差アレルギーとは

季節の変わり目で、1日の気温差が大きくなると、鼻水、鼻づまり、くしゃみなど風邪や花粉症に似た症状が起こりやすくなります。
これが寒暖差アレルギーで、正式な名称を血管運動性鼻炎といいます。

疫学

女性や、40歳以降の方に多く見られます。
自律神経のバランスが崩れやすいことに起因しているものとみられています。

原因

詳細な原因は明らかになっていませんが、一般的には7度以上の気温差により、鼻粘膜の自律神経のバランスが崩れ、鼻炎のような症状が起きると考えられています。春や秋などの寒暖差が強くなる時に出やすい傾向です。
自律神経は体温を一定に保つ他、呼吸数、心拍数、発汗、代謝等を24時間自動調節する働きを担っています。気温差によって、自律神経が乱れると、鼻の粘膜に在る血管の収縮・拡張が外気変化にうまく対応できなくなり、気温の差が刺激となって鼻粘膜の血管を広げ、鼻腔内部が腫れることにより、鼻炎の症状が出やすくなります。自律神経由来の症状ですので、アレルギー反応ではありません。
鼻の粘膜を刺激する状況の例として、暖かい場所から寒い場所に移動した時や、スキー場などで冷たい空気を吸った時、あるいはカレーやラーメンなど熱くて刺激性の強い食べ物を食べた時などに、鼻水やくしゃみがでます。
これらも医学的には血管運動性鼻炎と呼ばれており、鼻の粘膜の血管が拡張し、粘膜が腫れることにより症状が引き起こされます。
寒暖差アレルギーは湿度も影響しており、空気が乾燥すると悪化する特徴があります。他にも、タバコ、排気ガス、香料などの化学物質、精神的ストレスなども、鼻粘膜の変化に影響を与えます。

症状

寒暖差アレルギーの鼻水は無色透明でサラサラとした性状です。鼻づまりやくしゃみ等もみられます。
アレルギー性鼻炎でも、無色透明の鼻水、鼻づまり、くしゃみが同様にみられますがそれらに加え、目の痒みや充血が認められることがあります。
風邪の場合も鼻水症状が見られますが、鼻水は黄色っぽくドロッとしていることが多く、鼻づまりは有る場合と無い場合があります。くしゃみはあっても長く続くことはありません。風邪ではその他、発熱、咳、咽頭痛、頭痛、食欲減退がみられることもあります。

診断

鼻腔の診察と問診、鼻汁の性質、アレルギーの検査(採血など)を行い、総合的に判断します。寒暖差アレルギーは、「血管運動性鼻炎」と呼ばれており、明確なアレルゲンが発見できない場合はこれにあたります。
血液のアレルギー検査で、スギやハウスダスト等のIgE抗体が認められない場合は、寒暖差アレルギーの疑いが強くなります。
一方、アレルギー検査で陽性の患者の場合は、原因が重複している場合もあり単純に判断はできません。
眼の痒みなど眼症状を強く訴えている場合は、アレルギー性鼻炎を疑います。

治療法

①薬物療法

薬物療法には、花粉症や一般的アレルギー性鼻炎と同様の処方が有効です。
抗ヒスタミン剤の内服や、点鼻ステロイド薬の噴霧などを用います。

②リラックス

寒暖差アレルギーは自律神経の乱れが原因と考えられています。
自律神経には、交感神経と副交感神経の2種類がありますが、不規則な生活やストレスなどは、2つの神経のバランスを崩してしまいます。
ストレッチなどをして、身体をリラックスする機会をつくったり、気分転換に趣味に興じることも、自律神経改善効果があります。

③血行を良くする

適度な運動やトレーニングは、基礎代謝の上昇とともに血行の促進につながり自律神経を鍛える効果が有ります。同様に、40度前後のお風呂の入浴も、血行促進による自律神経改善効果が期待できます。

④レーザー治療

寒暖差アレルギーの治療の1つに鼻腔内のレーザー手術があります。
薬物療法を行っても改善がみられない場合は、レーザー手術が行われることがあります。
レーザー手術は、下鼻甲介粘膜レーザー焼灼術によって、鼻の粘膜を
焼きます。炎症している鼻の粘膜を焼くことで、鼻の通りを良くして症状を抑えます。

対策

温度差を少なくして、血流を良くする工夫が大切です。
さらに、自律神経のバランスの崩れを防ぐ生活を意識してみましょう。

➀行動時なるべく温度変化を小さくする。

外出の時にはすぐに羽織れる衣服などを携帯し、小まめに体温調節をできるようにしましょう。寒い部屋はあらかじめ暖めておきましょう。
予防するには気温差が小さくなるような服装を心がけましょう。脱ぎやすく、温度調節がしやすいカーディガン、マフラー、ショールなどがおすすめです。
また、暖房が効いた室内にいると外出した際の気温差で寒暖差アレルギーが出てしまうかもしれません。暖房はつけっぱなしにするのではなく、外出前に電源を切って、身体を外気温に慣らしておきましょう。

②血流を良くする工夫をします。

首の周辺は太い血管が通っているためマフラーやネックウォーマーなどで温めます。
他にも手袋、帽子、ひざ掛け等を利用して体を冷やさないようにします。
血流を良くするには、軽い運動もお勧めです。ウオーキングやジョギング、水泳といった有酸素運動は血流の促進に効果的とされています。
身体を温める食材(ショウガやトウガラシ、黒豆、黒ごまなど)を使った食品を食べることにより、血流促進、代謝向上が期待できます。

③規則正しい生活で体調を整える

自律神経の働きを安定させるため、早寝早起きして規則正しい生活をしましょう。
精神的なストレスは自律神経のバランスを乱すため、ストレス解消を心掛けましょう。質の良い睡眠をとることも大切です。趣味や運動の時間を設けてストレスの解消に努めましょう。

④バランスの良い食生活を送る

エネルギー源になるたんぱく質や体の調子を整えるビタミン、ミネラルなどバランスよく食事をとるように意識してみましょう。

⑤筋肉をつける

筋肉をつけることで、体内にある程度の熱を保つことができ、急激な温度差にも対応できるようになります。

⑥マスクをする

マスクを着用することで、冷たい空気が鼻や喉の粘膜を直接刺激することを防ぎます。