めまいとは

ことばの意味

からだのバランスを保つ機能に障害が起こると自覚される症状で、
自分や周囲が動いていないのに、動いているように感じる異常な感覚の事です。

症状別分類

症状で大別すると①回転性めまい②浮動性めまい③立ちくらみ④平衡機能障害があります。

①回転性めまい : 自分の周りがグルグル回る、もしくは自分自身が回る感じ。
②浮動性めまい : 体がフワフワした感じで、雲の上を歩いているような感じ。
③立ちくらみ  : 立ち上がるとクラッとし、時に目の前が暗くなる感じ。
④平衡機能障害 : 立ち上がったり、起き上がったりした時に、身体が傾く感覚。

部位別分類

部位で分けると、①耳が原因②脳が原因③耳脳以外が原因があります。

①耳が原因 : 末梢性前庭性めまいで、全体の70%を占めます。
②脳が原因 : 中枢性めまいで、全体の5%位。
③耳脳以外が原因 : 非前庭性めまいで、全体の20%強。

平衡制御の病態生理

平衡制御に関与する神経系は、前庭系ですが、この中には3つの要素が含まれます。

①内耳の前庭器官 ②第8脳神経(内耳神経) ③脳幹及び小脳にある前庭神経核

①と②の内耳・第8神経の障害は末梢系の障害とみなされ、③の脳幹及び小脳の前庭神経核とその経路の障害は、中枢性の障害とみなされます。
平衡感覚には、さらに、眼からの視覚刺激の入力および、末梢神経からの脊髄を経由した、固有受容感覚刺激の入力が組み込まれています。大脳皮質は下位中枢からの出力を受け、その情報を統合して運動の知覚を生み出します。
れらの箇所のどこかに異常が発生するとめまいとして捉えられるわけです。

主な原因

①回転性めまい : 多くは耳(内耳)の異常が原因ですが、他にも、脳出血や脳梗塞など脳の異常でも起こります。また、更年期障害やストレスでも発症します。めまい以外の症状として、耳鳴、耳閉感、難聴が起きることもあります。

②浮動性めまい : 多くが脳の異常で発生します。他に耳の異常でも起こります。めまい以外の症状として、頭痛、顔や手足のしびれや麻痺を伴う場合は、積極的に脳の病気を疑って検査・治療が急がれます。

③立ちくらみ : 多くは起立性低血圧など血圧の変動や循環器系の異常が原因です。失神型めまいとも呼ばれ、意識が遠くなることが特徴です。眼の前が真っ暗になる事を、眼前暗黒感といいます。

④平衡機能障害 : 体平衡系の異常で、反射系と中枢系の連携障害が原因です。

回転性めまいを引き起こす主な疾患

良性発作性頭位めまい症

再発性耳性めまいの最も一般的な原因です。加齢とともに発症率が高まります。
特定の頭位や特定の方向に頭を動かしたときに、短時間(60秒未満、長くても2~3分以内)の回転性めまいが起きます。
特に、頭の角度が変わるときや、寝返りをうったりするとグルグル回ります。
悪心や嘔吐が起きることもありますが、難聴や耳閉感、耳鳴は起こりません。
三半規管内の耳石の移動により生ずるめまいで、縦方向に頭の位置が動く
ことにより引き起こされます。典型的には朝起床時に起こります。同様な症状を示す、脳腫瘍など、悪性のものと区別するために、良性と名称がついています。

病因には以下のものが有ります。
①卵形嚢の耳石膜の自然変性 ②内耳振盪 ③中耳炎 ④耳の手術 ⑤ウイルス感染⑥頭部外傷 ⑦長期の麻酔または床上安静 ⑧過去の前庭疾患(メニエール病等)⑨前庭動脈の閉塞

治療法 : 浮遊耳石置換法。頭位を動かして位置がずれた耳石を卵形嚢に戻します。エブリー法は、頭や体を一定の手順に従って左右に倒し、浮遊物を半規管から除去することにより、早期に直す治療法です。
通常、薬物療法は推奨されません。
めまい症状は通常、数週間から数か月で自然に治まりますが、数年続くこともあります。

メニエール病

発作性、反復性の回転性めまいが起こり、耳鳴や耳閉感、感音難聴を伴う内耳の病気です。難聴は通常片側に起こります。

発生のピークは20歳~50歳の間にあります。

通常1~6時間で、稀に最大24時間続くこともある突然の回転性めまい発作で、悪心と嘔吐を伴います。
随伴症状は発汗、下痢、歩行不安定などがあります。

耳鳴は持続的もしくは断続的で、姿勢や動きと関連がありません。
その後典型的
には低周波に影響を及ぼす聴力障害(感音性難聴)が発生することがあります。ほとんどの患者は、患側耳に耳閉感、圧迫感を覚えます。大半は片耳のみの障害です。良性発作性めまい症と良く似た回転性めまいが生じますが、原因は異なり、三半規管内の水が増えることで発症します。この水は聴覚器官(蝸牛)と共有しているため、めまいと同時に、難聴も起こります。繰り返し起こるのが特徴で、徐々に難聴が進行する傾向があります。聴覚に関係する蝸牛内部の中央階のリンパ液が過剰になる状態を『内リンパ水腫』と呼び、メニエール病の根本原因とされています。無症状期間は1年を超えることも有りますが、疾患の進行に伴い聴覚障害が持続、悪化し、耳鳴が絶えず続くこともあります。
治療法としては、安静や抗めまい薬、抗不安薬、利尿薬の内服が勧められ、次第に改善します。食事は減塩食とします。ストレス疲労の際は、反復、悪化することもありますので、ストレス原因の究明と改善が必要です。

突発性難聴

急に極端に聞こえが悪くなります。
回転性めまいと、片側の難聴、耳鳴が主症状で、他に悪心、嘔吐、腹痛などが生じることもあります。メニエール病と症状は似ていますが、めまい発作を繰り返すことはありません。30~40代の女性に多く見られます。
突然の激しいめまいが30分から6時間程度続き、立っていることもできず横になるしかない状態となります。傾向としてやせ形で、神経質、几帳面な性質の人に多く見られます。ストレス、過労、睡眠不足が誘因として多くみられます。治療はステロイド投与が基本です。内耳の血行促進目的に、ビタミンB12、代謝促進剤(アデホスコーワ)を使用する場合もあります。適切な治療が早期に行われれば、難聴は改善し易くなります。

前庭神経炎

比較的急激に発症し、激しい回転性めまいが起こり、悪心、嘔吐を伴います。
通常水平性眼振がみられます。

症状は1日以上続き、時には数か月に及びます。原因は風邪のウイルスによる第8脳神経の前庭神経部の炎症です。かぜの後にめまいが長く続くのが特徴です。
ウイルス性内耳炎との違いは、耳鳴、耳閉感、難聴が見られないことです。
自然軽快する回転性めまいですが、一部障害が残ることもあります。
治療法はメニエール病と同様です。

中耳炎

急性または慢性の中耳の炎症が内耳に波及してめまいが発生することがあります。他に、特殊なものとして、真珠腫性中耳炎で、直接内耳が破壊されて、めまいを発生する場合もあります。

椎骨脳底動脈循環不全

高血圧や動脈硬化症のある人が、急に首を回したり上を向くとめまいが発生することがあります。慢性的に脳内の血管が狭まっていくことで、発作的にめまいが生じ易くなると考えられています。
一過性の脳の虚血によるめまいで、浮動性めまいのことも多いのですが、回転めまいを発生することもあります。
頭部MRA検査が有効です。

脳出血

小脳や脳幹の出血・梗塞の場合にみられます。(脳卒中)
急激に始まるめまいのうち、3~5%が脳卒中といわれています。
脳幹や小脳は平衡神経と密接な関連を持っている器官です。回転性めまいと、同時にしびれ、脱力感、ろれつが回らないなどの症状が有ったら、緊急受診を。
脳幹梗塞は頭部CT検査ではわかりづらいので、頭部MRI検査が必要です。

浮動性めまいを引き起こす主な疾患

身体が宙に浮いているような、フワフワとした感じのするめまいのことを言います。
正しい姿勢を保ったり、まっすぐ歩くことが困難になります。
症状は軽く直ぐ治る場合がほとんどです。
貧血や低血圧、自律神経の不調が原因とされ、基礎疾患の治療で改善します。
慢性的なものもあり、高齢者に良く見られます。

耳科的原因疾患

浮動性めまいは、通常は耳からの原因でないことがほとんどです。

脳機能からくるもの

低血圧、低酸素血症、貧血、低血糖で重度の場合は失神として現れます。

ホルモンの変化

甲状腺疾患、月経、妊娠などでも出現します。

薬剤性

多数の中枢神経系作用薬がめまいの原因薬の可能性を秘めています。

心因性

パニック症、過換気症候群、不安、抑うつ状態などがあります。

高齢者

加齢に伴う視覚、前庭感覚、固有受容感覚の機能低下と薬剤の有害作用が複合的に結びついて起きます。

立ちくらみを引き起こす主な疾患

起立性低血圧

急に立ちあっがた際に生じる過度の血圧低下。いわゆる『立ちくらみ』のことです。
起立時に、20mmHgを上回る収縮期血圧の低下、10mmHgを上回る拡張期血圧の低下の、どちらかまたはその両方があれば診断されます。
症状としては、意識の遠のき、ふらつき、めまい(回転性ではない)、錯乱、 霧視などが、起立後数秒から数分以内に起こり、臥位により速やかに消失します。
患者によっては、転倒、失神さらには全身ケイレンを起こす場合もあります。
運動または大食が症状を増悪させることも知られています。
起立性低血圧は様々な病態に起因する血圧調節異常の表れであり特定の疾患ではありません。自律神経には、血管を収縮させ血圧や脈拍を上げる交感神経と、血管を広げ、血圧や脈拍を下げる副交感神経の2つがあり、身体のバランスを保っています。起立時には交感神経と副交感神経の働きにより、血圧変化は最小限に保たれますが、自律神経がうまく働かないと、立ちくらみなど、様々な不調が現れます。症状が急性か、慢性で有るかにより原因が異なります。

急性起立性低血圧の原因は、循環血液量減少(嘔吐、大量発汗、下痢、熱傷)、薬物、長期臥床、副腎機能不全などです。

慢性起立性低血圧の原因は、加齢に伴う血圧調節の変化、薬物、自律神経機能障害などの他、食後の起立性低血圧も良くみられます。炭水化物を多く含む食事に対するインスリン反応と、消化管での血液貯留によって発生します。飲酒により症状は悪化します。糖尿病の血糖値コントロール不良や、循環器系疾患(心臓弁や血管の異常)、内分泌疾患(アジソン病など)、パーキンソン病、がん、甲状腺異常などでも発生します。

起立性調節障害

子供に多く見られ、立ち上がった瞬間にクラッとしたり、長く立っていて目の前が暗くなります。小学校高学年から中学生に多く見られます。
起立性調節障害をもつ小児の3分の2が不登校で、不登校小児の約半数が起立性調節障害を合併しています。自律神経系の異常で、循環器系の調節が上手くいかなくなります。
立ち上がった時に血圧が低下したり、心拍数が上がりすぎたり調節に時間がかかります。身体的要素以外に、精神的、環境的要素も関わって起きます。第二次性徴期とも重なり、自律神経系にも調節不良を来たしやすくなります。
午後からなら登校できる、行事や部活動なら行ける、遊びになら行けるなどの子供が多く見られます。
なりやすいタイプは、真面目で気を遣う子供がなり易く、ストレスをため込みやすく、周囲の期待に応えて頑張ろうとする子供に多い傾向です。
中学生の時点の約1割に存在します。遅刻や欠席が増えて、不登校になり易くなります。精神的、環境的要素が大きく関与しています。

典型的症状は①立ちくらみ ②疲れやすい ③長時間立っていられないの3つです。
下記11個のチェックポイントのうち3つ以上該当し、他の疾患が否定的なら起立性調節障害の可能性が有ります。

①立ちくらみやめまいが有る ②立ち上がった時に気分が悪くなったり失神する
③入浴時や嫌な事が有った場合に気分が悪くなる ④動機や息切れがする
⑤朝なかなか起きられず午前中は調子が悪い ⑥顔色が青白い ⑦食欲不振
⑧腹痛 ⑨倦怠感 ⑩頭痛 ⑪乗り物酔い

チェックポイント以外の症状として、夜寝付けないの訴えが多く見られます。

タイプ別の分類 以下の疾病群のうち①と②が多く見られます。

①起立直後性低血圧: 起立直後の血圧低下からの回復に時間がかかる
②体位性頻脈症候群: 血圧の回復に異常はないが心拍の回復に時間がかかる
③神経調節性失神 : 起立中の急激な血圧低下によりいきなり失神
④遷延性起立性低血圧: 起立を続けることにより徐々に血圧が低下して失神

診断: 新起立試験 10分以上臥床の後、安静時の血圧・脈拍を測定、起立後の血圧低下からの回復時間、その後10分後まで血圧・脈拍を測定します。

日常の改善習慣
① 血液量が少ないので循環血液量を増やすために、食事以外に水分を2リッター、塩分も多めに摂ります。1日3食。朝食ぬきはその分塩分が少なくなるのでダメ。
② 日中ゴロゴロ横にならず、自律神経の調節が行われるように、座ったり、どうしても横になりたい時は、上半身を上げるように、頭の位置を心臓より高くしてください
③ 起立するときはゆっくり立ち、長時間の起立はできるだけ
避けましょう
④ ストレスコントロールのために周囲が協力することも大切です

薬物療法 : 昇圧剤の内服

不整脈・心疾患

不整脈や心疾患で、心拍出量が低下し、脳血流量が減少した場合には浮動性めまいや、立ちくらみを引き起こすことが有ります。
めまいを起こし易い不整脈は、高度の房室ブロック、洞不全症候群、心室頻拍、心室細動などです。心疾患としては、心筋梗塞、心臓弁膜症、心筋症などがあり、心電図や24時間心電図が有力な情報を与えてくれます。

迷走神経反射

失神の原因としては最も多いもので、迷走神経が刺激されることにより、血圧の低下と徐脈がおこります。
不安、恐怖、疼痛、高温、空腹、疲労などのストレスがかかった場合に起こり、若い世代に多く、朝礼中に倒れるのは殆どこの迷走神経反射です。
また、採血による気分不快や失神も迷走神経の反射とみられています。

貧血

消化管出血など、急に失血が起こった時に、めまいを生じることが有ります。

低血糖

糖尿病治療中に、血糖降下剤やインスリンの使用により血糖が下がり過ぎた場合はめまいを生じることが有ります。

平衡機能障害を引き起こす主な疾患

薬物によるめまい

暗闇でフラフラ感が強く、歩行中に物が揺れて見えたり、眼前暗黒感や失神を伴うめまい出現のこともあります。
めまいを起こし易い薬としては、①降圧剤 ②抗てんかん薬 ③抗不安剤 ④抗うつ剤 ⑤抗パーキンソン薬 ⑥睡眠薬などがあり、市販の風邪薬の副作用でもめまいが起きます。

聴神経腫瘍 (聴神経鞘腫)

全頭蓋内腫瘍の約7%に相当します。 緩徐に進行する片側性感音難聴が特徴です。
いつとはなしに片側の聞こえが悪く、歩くとフラフラする感覚を訴えます。
ゆっくりと、平衡神経と聴神経を圧迫、破壊し、ふらつきよろめき等のめまい症状を引き起こします。

症状は以下のようなものが有ります。 ①感音難聴 ②片側耳鳴 ③浮動性めまい ④平衡障害 ⑤頭痛 ⑥耳圧迫感・耳閉 ⑦三叉神経痛 ⑧顔面神経が侵されると顔面のしびれ、筋力低下

小脳梗塞(出血)

小脳には体の動きをスムーズにする機能と体のバランスを保つ機能があります。
小脳梗塞では四肢の運動のぎこちなさや、ろれつの回りにくさ、垂直性眼振、めまい、吐き気、バランスが損なわれて体がふらつき、立てないこともあります。
小脳出血では、頭痛、めまい、嘔吐の3つの症状が特徴的ですが、この際、手足の麻痺は見られません。

脳幹梗塞(出血)

脳幹には脳神経12種類のうち10種類があり、首から上の運動や感覚に関係しており、眼の動き、顔の動き感覚、音を聞く、首の動き、口の中の動き感覚等を制御しています。
従って、脳幹の病気ではめまい、二重に物が見える、ろれつが回らない、顔面の運動・感覚の異常、手足の運動・感覚障害などが見られます。
脳幹梗塞は通常の脳梗塞と同じ治療を行います。一方、脳幹出血は部位的に治療が難しいことが少なくありません。

脊髄小脳変性症

脳幹や小脳等の中枢神経の変性が起こる疾患で、遺伝性があります。

運動失調を主な症状とする神経疾患の総称です。
小脳及び脳幹から脊髄にかけて神経細胞が徐々に破壊、消失していく進行性の難病です。小脳失調障害による運動失調の症状は以下のものが見られます。

①歩行障害: 歩行時にふらつき転倒が多くなり、進行すると歩行困難になる
②四肢失調: 手足を思いどおりに動かせない、物をつかむのが困難になる
③構音障害: ろれつが回らない、言語不明瞭、徐々に発声が困難になる
④眼球振盪: 姿勢を変えたり体を動かすと、眼球が細かく揺れる
⑤姿勢反射失調: 姿勢が上手く保てなくて倒れたり傾いたりする

延髄機能障害では振戦、筋固縮、バビンスキー反射が出現します自律神経障害では起立性低血圧、睡眠時無呼吸、発汗障害、尿失禁が見られます不随意運動障害では舞踏運動、ジストニア、ミオクローヌスが出現します。

特殊なめまいの状況

音響障害(大音量によるめまい)

大きな音を聞くと、内耳性のめまいが起こります。
急性音響障害の例として、銃声、ロックコンサート、爆竹などが有ります
内耳に在る有毛細胞を傷つけるため、めまいの他に、耳鳴、難聴、頭痛、耳閉感や自分の声が、耳の中で響いているような感じがします。(自声強聴)

顎関節症

顎関節症の患者さんでは、口を開けると耳鳴、めまいを訴える方がいます。
咬合不全や、歯科矯正治療中などにもめまいが生じやすいことが知られています。
女性に多い疾患で10~50代にみられます。
消炎鎮痛剤の服用、生活習慣の改善によって治療を行い、症状が残るようでしたら歯科的にスプリント(薄いプラスチックの歯の装具)療法を行います。
顎関節症になり易い生活習慣は ①せんべいなど硬いものを好む ②スルメイカ、ビーフジャーキー等を奥歯で噛みしめる物を好む ③仕事やスポーツで歯を噛みしめる癖 ④テレビや勉強でテーブルに肘をつく癖 ⑤うつ伏せで寝る癖 ⑥どちらか片方の歯で物を噛む癖 などが挙げられます。

ハント症候群 (ラムゼイ・ハント症候群)

ウイルス性神経炎の一つで、水痘・帯状疱疹ウイルスによって発現する帯状疱疹のⅠ病型です。
耳に出現した帯状疱疹により、第8脳神経の神経節および第7脳神経(顔面神経)の膝神経節をが侵されるため、次のような症状が出現します。

①耳の小水疱を伴う重度の耳痛 ②一時的または永続的な顔面神経麻痺(ベル麻痺に類似) ③数日から数週間続く回転性めまい ④難聴(永続的な場合もあれば部分的または完全に回復する場合も有る)⑤舌や口腔粘膜に正中を超えないで水疱や発赤の発生 ⑥小水疱が顔面神経の感覚枝の分布に沿って耳介および外耳道内部に発生

顔面神経麻痺は主症状の一つですが、顔面神経麻痺として一番頻度が高いのは単純ヘルペスⅠ型が原因で起こるベル麻痺です。ベル麻痺には、めまい・難聴・耳鳴が無いことが、ハント症候群との鑑別の手掛かりとされます。
ハント症候群による顔面神経麻痺の予後は、ベル麻痺と比較して不良で、後遺症の残る頻度が高いことから早期診断と積極的な治療介入が必要です。

治療はプレドニン60㎎ 1日1回 4日間投与後漸減。他に、抗ウイルス剤バラシクロビルや、ビタミンB12の内服投与が有ります。

心因性めまい

不安障害やうつ病などの精神疾患では、症状の一つとして、めまいを自覚することがあります。耳や脳の検査では、明らかな異常所見は認めません。診断の難しいめまいです。

診断と検査

問診

『どういう感じのめまいか』『他に症状はないか』『何をしている時に起きるか』等を聞くことにより、8割方は診断がつきます。

耳以外の病気が疑われる場合

脳疾患が考えられる時は、頭部のCTやMRIを撮り、 循環器の異常が考えられる場合は、一般心電図、24時間心電図などを録ります。