高血圧

高血圧とは

血圧とは、血液が動脈血管内を流れる際に、血管の内側にかかる圧力の事です。
血圧の高い低いは、心臓から押し出される血液の量(心拍出量)と、血管の太さ、血管壁の弾力性により決まります。
慢性的に動脈血管内の圧力が高くなった状態を高血圧といいます。
血圧が高くても、生命の維持に欠かせない臓器が損傷を受けるまで、何年もの間、全く症状が現れないことが多いため、『サイレントキラー』とも呼ばれています。
高血圧が続くと、脳卒中、動脈瘤、心不全、狭心症、心筋梗塞、腎障害などが起こるリスクが高くなります。

診断基準

高血圧とは、病院や健診施設などで測定した血圧値が、収縮期血圧140mmHg以上または拡張期血圧90mmHg以上(140/90mmHg以上)の状態をいいます。
自宅で測定する家庭血圧では、それより低い135mmHg以上または85mmHg以上(135/85mmHg以上)が高血圧とされます。
日本高血圧学会の高血圧診断基準2019では診療室内の血圧の基準は次のように記されています。

成人における血圧値の分類(mmHg)
正常血圧  :   120未満   かつ 80mmHg未満
正常高値血圧: 120~129 かつ 80mmHg未満
高値血圧  : 130~139 かつ/または 80~89mmHg
Ⅰ度高血圧 : 140~159 かつ/または 90~99mmHg
Ⅱ度高血圧 : 160~179 かつ/または 100~109mmHg
Ⅲ度高血圧 : 180以上   かつ/または 110mmHg以上

症状

特別な自覚症状は無く、健康診断や、偶然の機会に指摘、発見されることがほとんどです。
このように、目立った症状が無いうちに、発展し進行していくのが高血圧の怖い部分ですが、肩こりや頭痛、頭重感、めまい、動悸、息切れなどの症状が出る場合もあります。
高血圧の状態を放置していると、血管の壁に常に圧力がかかっている状態になるため、血管が硬くなる動脈硬化が起こり、脳梗塞や脳出血、狭心症、心筋梗塞、慢性腎臓病などの重大な病気につながることがあります。
自覚症状がほとんど無いだけに、普段から血圧を測る習慣を身につけることは大事です。

疫学

平成26年度の厚生労働省の国民健康・栄養調査報告によれば、有病率(140/90mmHg以上または降圧剤服用中)は
40~70歳で  男性 60% 女性 40%
75歳以上で   男性 74% 女性 70% です。
男性の場合、30代で25%、40代で30%と年齢が上がるにつれ有病率が増加します。
予後として、収縮期血圧(最高血圧)が、10mmHg上昇すると、男性の場合、心疾患への影響が大きく、心筋梗塞、狭心症の危険度が、約15%増加すると言われており、脳卒中リスクでは、男性で約20%、女性で約15%高くなるとされます。

原因

血圧の高さは、心臓が血液を押し出す力と、血管の広がり方(硬さ、柔軟性)によって決まりますが、これらの要素に変化が生じると血圧が高くなることがあります。高くなる原因、すなわち高血圧の原因は大きく2つに分類され、『本態性高血圧』と『二次性高血圧』があります。
高血圧の90%は『本態性高血圧』です。
本態性高血圧は親が高血圧であるなどの遺伝的要因を持ち、体質的に高血圧になりやすい人が、塩分の取りすぎ、喫煙、過度の飲酒、運動不足、ストレス、加齢、睡眠不足、肥満、動脈硬化などの要因が加わることによって引き起こされたものです。
中でも、長期にわたって塩分を取りすぎると血管の柔軟性が失われるため、高血圧の重大な原因となります。また、肥満体形になると血圧をコントロールするホルモンや自律神経の働きが乱れるため、血圧上昇の原因となります。
すなわち、体質的な要因の大きい本態性高血圧も、生活習慣、特に食習慣が、密に関与しています。
二次性高血圧は、腎臓疾患や内分泌異常、心臓や血管の異常などが原因で起こります。

予防

降圧剤を服用しているか否かに関わらず、生活習慣の改善を心掛けることが大切です。
塩分の多い食事は血圧上昇につながるだけでなく、心臓や血管にも悪影響を及ぼします。
薄味に慣れ、野菜や果物を積極的に撮り、動物性脂肪を控えるなど食生活の見直しを意識して行うようにしましょう。
肥満の人は、カロリー制限で体重を減らすことで、血圧が下がることや、他の合併症予防効果も期待できます。運動は1日30分以上または、週180分以上の散歩を含めた、有酸素運動を行いましょう。
家庭で血圧を測り記録すると自分の現在の状況が把握できます。
測定は、毎日決まった時間行うようにしてください。朝食前と寝る前の計2回の測定がお勧めです。

検査

基本的な事として、問診から始まり、血液検査、尿検査、心電図検査、胸部レントゲン検査などを行います。
状況によっては 心臓や頸動脈の超音波検査なども行います。
高血圧による合併症の有無を調べることも重要です。
これらを総合して、体質が原因の本態性高血圧なのか、他の臓器に原因のある、二次性高血圧なのかを判断します。
二次性高血圧の疑いが有るときは、さらに、腹部超音波検査や、CT検査、MRI検査などを行い、脳や心臓、腎臓などに高血圧の原因となる疾患の有無を精査します。

治療

生活習慣の悪化が要因とみられるような、本態性高血圧の場合は、生活改善と薬物療法を組み合わせて行います。
まずは塩分の摂取量の制限です。1日6g以下に抑えるよう心掛け、動物性脂肪を控えるなどの食事療法のほか、日常的な運動(有酸素運動)、禁煙、体重管理などが有効です。
軽度の高血圧の場合は、生活習慣改善だけで血圧が正常化する場合もあります。
食事と運動で改善が見られない場合は、降圧剤の服用が必要です。
降圧剤には、血圧を上げるホルモンの働きを抑制するACE阻害剤やARB、血管を広げる働きのあるカルシウム拮抗薬、循環する血液量を減らす利尿剤、交感神経が過剰に働くことを抑えるβ遮断薬などが有り、症状に応じて複数の薬が組み合わされることもあります。
生活習慣の見直しと、適切な降圧剤の組み合わせにより、効率良く血圧を下げる効果が期待できます。
二次性高血圧の場合は、高血圧の原因になっている疾患に対する治療を行ないます。

当院で対応可能な疾患

小児科

小児の感染症(インフルエンザ、胃腸炎、RS、ヒトメタニューモ、アデノ、溶連菌、水痘など)、小児の皮膚疾患(アトピー、乾燥肌、湿疹など)、小児喘息、発達障害、夜尿症など

耳鼻咽喉科 

花粉症、アレルギー性鼻炎、副鼻腔炎、耳垢、ちゅうじ・外耳炎、耳鳴、睡眠時無呼吸症候群、めまいなど

内科

インフルエンザ、風邪、胃腸炎、高血圧、糖尿病、高脂血症、気管支喘息、肺気腫、慢性胃炎、胃潰瘍、逆流性食道炎、ピロリ菌、不眠症、自律神経失調症、痛風、更年期障害、甲状腺疾患、脳梗塞後遺症など

その他の疾患

腰痛症、骨粗鬆症、変形性膝関節症、50肩、ガングリオン、尿道炎、クラミジア感染症、湿疹、皮膚掻痒症、水虫など


在宅医療の実施

対応可能な医療の内容は以下の通りです。

在宅酸素療法

褥瘡(床ずれ)の管理

睡眠時無呼吸症候群の治療

在宅自己注射の指導・管理