小児科・耳鼻咽喉科・内科
ヒロクリニック
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RSウイルス感染症

RSウイルスとは

RSウイルス(Respiratory Syncytial Virus)は、RNAウイルスに分類されパラミクソウイルス科に属しています。A型とB型の2つの型が有ります。ヒトメタニューモウイルスと並んで、乳幼児呼吸器感染症に関与する代表的なウイルスです。感染症法でRSウイルス感染症は五類感染症(定点把握)に指定されています。感染により発症する宿主は、ヒト、チンパンジー、ウシが知られています。例年冬季にピークを迎えますが、近年7月頃より増加が見られており、周年感染が見られます。熱帯地域では雨季の流行が多いとされています。

生後12か月までに60~70%、2歳までに80%以上の小児が感染します。

乳児の肺炎の原因の約50%、細気管支炎の原因の50~90%を占めます。好発年齢は2歳未満の乳幼児ですが、生後6か月以内の発症では重症化し易いことが知られています。学童以上の年齢でも感染し、成人になっても発症する可能性が有りますが、通常は感冒のみにとどまり重症化のケースは稀です。

感染経路

主たる感染経路は飛沫感染で、咳やくしゃみによる唾液や気道分泌物が原因で感染します。接触感染も重要な感染経路です。感染している患者の気道分泌物(飛沫や鼻汁)が手、共有物を介して伝搬します。他のウイルスとは多少異なり、侵入門戸は鼻腔粘膜、気道のみならず、眼瞼結膜からも感染が可能です。ウイルス排出期間は1~2週間程度。乳児や免疫不全患者では3~4週間に及びますので感染力の持続には注意が必要です。

症状

潜伏期間は2~8日、通常は4~6日です。初発症状として、発熱、鼻水、咳などの風邪症状が数日間続きます。感染した乳児のほとんどに上気道感染を認めます。38~39度の熱が持続し、咳が徐々に強くなります。増悪する咳により、細気管支炎やさらに悪化して肺炎を起こすと、ゼーゼー、ヒューヒューという喘鳴(呼吸音)や呼吸困難の症状が加わります。さらに進行すると、陥没呼吸、努力呼吸となります。このような細気管支炎や肺炎などの下気道感染症の発症は20~30%に達します。

呼吸障害が強い場合は入院加療となります(2~3%)その中でも一部が人工呼吸器管理に至ります。罹患期間は通常7~12日に及びます。

新生児や生後6か月以内の乳児、免疫不全者およびダウン症児等は重症化しやすいので注意が必要です。

免疫

呼吸器ウイルスである、RSウイルスは、RSV-AとRSV-Bの、2グループに分類され、それぞれに複数の遺伝子が存在します。RSウイルスに対する免疫は長期にわたって持続しないため、同一シーズン中でも乳児の再感染が発生することがあります。

母体からの移行抗体では感染防御に不十分なため、新生児にも感染します。
1歳までに半数以上が感染し、2歳までにほとんどすべての乳児に感染します。

感染しても十分な免疫ができないため、治癒してから何回も感染しますが、症状はその都度軽くなります。初めて感染発症した場合が症状が重くなりやすく、乳児期早期の初感染は細気管支炎、肺炎になりやすいといわれています。

診断

先ずは、特徴的な臨床経過、咳、発熱、胸部聴診などから診断していきます。

定性検査として、免疫クロマトグラフィーを用いた迅速診断キットが実用化されており、鼻汁を綿棒で採取することにより、15分ほどで判定結果が出ます。

合併症

中耳炎

1歳以下では多くの症例(約半数)に合併が見られます。

細気管支炎

喘鳴を伴う呼吸困難の症状が特徴で、ゼイゼイ、ヒューヒューといった呼吸音がします。

呼吸状態が悪化するようでしたら入院加療も必要です。

肺炎

呼吸困難が出現しますが、細気管支炎と肺炎の鑑別は容易ではなく、しばしば合併します。

胸部レントゲンの画像パターンも一定しません。

副鼻腔炎

細菌性副鼻腔炎をしばしば合併します。

その他の合併症

無呼吸、ADH分泌異常症候群、急性脳症も有ります。

高齢者への感染

慢性肺疾患のある高齢者では重篤な肺炎を来たし死に至ることが有ります。

予防法

生活上の予防として、乳幼児の手洗いの励行、身の回りのおもちゃなどの消毒が必要です。眼および鼻の粘膜からも感染するので通常のマスクでは効果無しとされます。

予防注射としてはシナジスが有ります。RSウイルス感染による呼吸器感染症の重症化を防ぐ目的で月1回の投与(注射)が行われ、早産児、呼吸器疾患、心疾患罹患の乳児、免疫不全症児あるいはダウン症児は保険適応となっています。

治療薬

特効薬はなく、症状に応じた治療となります。解熱剤、去痰剤、咳止めなどが使用されます。

脱水、飲水困難、呼吸困難、二次感染重篤化などの場合は入院して、酸素吸入、点滴、人工換気などが必要なことも有ります。

保育園、幼稚園の登園

保育園に行けるタイミングは参考になるものとして、厚生労働省の感染症対策ガイドラインでの登園基準が有り、「呼吸器症状が消失し、全身状態がよいこと」となっています。

要するに、咳、発熱などの症状が解消し、全身状態が良くなれば登園可能です。